ネタバレあり映画『三度目の殺人』の感想。ねぇ、結局誰が殺したの?
公開初日の2017年9月9日(土)に、映画『三度目の殺人』を見てきました。
http://gaga.ne.jp/sandome/
![](https://hasegawa-ayumi.com.ai-comm.conohawing.com/wp-content/uploads/2019/09/21369360_1409326249116563_6501142894091005577_n-225x300.jpg)
ヴェネチア国際映画祭に出品されたということですが、こんなに難しい映画、海外のみなさんは本当に理解できたのでしょうか?
と、思ってしまうぐらい、1度でスッキリ理解するのがとてもむずかしい映画です。
ひとことでいえば
釈然としない!
本当はこうだったんじゃないの? こうもとらえられるかも?というふうに
見終わってからが、映画の本当の始まりだから。
特に、結末の部分は、どうとらえればいいのか・・・
主演の福山さんが、撮影中に「ねぇ、役所さん。本当は殺したの?殺してないの?どっちなの?」と、役所広司さんに詰め寄った、なんて話もありましたが
私も同じ気持ちです。
ねぇ。役所さん、どっち?
予告編
予告編を見る限り、素早い展開で、終始ドキドキするのかなー?と感じていましたが
実際は、かなり丁寧に描かれている印象でした。
ところどころ、この話は、なんのための伏線だったのか、わからなかった部分をのぞいては。
映画『三度目の殺人』の主要キャスト
弁護士 重盛(しげもり)・・・福山雅治
殺人犯? 三隅高司(みすみたかし)・・・役所広司
被害者の妻 美津江(みつえ)・・・斉藤由貴
被害者の娘 咲江(さきえ)・・・広瀬すず
弁護士 摂津(せっつ)・・・吉田鋼太郎
重盛の父(元 裁判長)・・・橋爪功
重盛の部下 川島・・・満島真之介
役所広司さんの、演技力、眼力も凄まじいものがありますが
斉藤由貴さんも素晴らしいです。
最近不倫疑惑などでスポットがあたっていますが、女優としてもっと評価したい。
でも、現実と重なるようなセリフがいくつかあって、ネタか?と思って、映画のストーリーとは無関係に、心の中で笑っちゃいました。
映画『三度目の殺人』をつくったのは、誰?
監督・脚本は、是枝裕和(これえだ ひろかず)さん。
2013年に、福山雅治さん主演の『そして父になる』の監督をつとめた方です。
http://www.kore-eda.com/
映画『三度目の殺人』のあらすじ
勝つことを第一目標に掲げる弁護士の重盛(福山雅治)は、殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を渋々引き受ける。クビになった工場の社長を手にかけ、さらに死体に火を付けた容疑で起訴され犯行も自供しており、ほぼ死刑が確定しているような裁判だった。しかし、三隅と顔を合わせるうちに重盛の考えは変化していく。三隅の犯行動機への疑念を一つ一つひもとく重盛だったが……。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0021814
映画『三度目の殺人』の謎とは? ※ネタバレ注意
三隅(役所広司)は、30年前に殺人で有罪になり、30年間の刑期を終え出所してきました。
(偶然なのか必然なのか、わざとなのか知りませんが、そのときの裁判長が、重盛(福山雅治)の父親です)
その三隅が、なぜ二度目の殺人を犯したのか?
殺人の動機はなんなのか?
ここは、誰もが感じる謎の部分です。
そもそも、目撃証言もなく、証拠もなく、三隅の供述だけで起訴されています。
弁護士としては「認めなければ起訴されなかったかもしれないのに」と、思うのは当然かと。
とりあえず、死刑ではなく、無期懲役にもっていければそれでいいから、と
司法修習生時代の同期である摂津(吉田鋼太郎)に頼まれ、重盛はイヤイヤ引き受けた事件でした。
接見室でのやり取りは、見どころのひとつ。
なにしろ、役所さんの出番は、ほぼ接見室ですから。
あんな狭いところにいるのに、本当に存在感の大きい方です。
しかし、話が進んでいくに連れ、私たちスクリーンのこちら側の人間は、弁護士の重盛とともに、三隅に振り回されていきます。
え?お金欲しくて殺したんじゃなかったの?
え?え? 被害者の妻に、お金もらって殺人を依頼されたの?
あげくのはてに「殺していない」と言い出す始末。
誰もが「真実を知りたい」と思っているのに
映画の中では「本当のことなんてどうでもいい」というセリフが飛び出してくるし
「ここには真実なんてない」だとか
本当の争点は、殺人の動機でも、真実の殺人者でもなく
「裁き」をくだすのは、誰なのか? という部分にあるようでした。
儀礼的な話でいえば、裁判員だったり裁判官だったりするのですが
映画の中では、三隅自身が三隅に裁きをくだすために、重盛を踊らせたのかなと、私は解釈しました。
このあたりは、終盤の重要なポイントになってくるので、あえてネタバレないでおきたいと思います。
え?これはどうしたの? どうだった?という「謎」は、いたるところに出てくるのですが
それを、一緒に映画を見た人と話し合うのも楽しみのひとつですから
ここでは書かずにおきますね。
映画『三度目の殺人』の隠れたメッセージ
私の本当に、個人的な感想ですが
この映画のキーワードは「父」です。
父としての重盛。
重盛の父。
父としての三隅。
そして、被害者の娘の父。
被害者の娘のことを、自身の娘に重ね合わせた三隅。
など。
私は女ですから、「父性」といったものに言及するつもりはありませんが
映画の中で、十字架は、重要なアイテムです。
十字架といえば、天にまします我らの父よ・・・ということで
ここでも父がでてくるのですよね。つまり神。
脚本を書いた是枝さんは、この映画をとおして、どういうメッセージを伝えたかったのか。
それを読み解くための、重要なキーワードのような気がしています。
裁きをくだすのは人間ではなく、神(父)であるということなのでしょうか。
![](https://hasegawa-ayumi.com.ai-comm.conohawing.com/wp-content/uploads/2019/09/71163f387ad84c7247a73b461afb0353_m-1024x683.jpg)
被害者の娘 咲江の真意
被害者の娘である咲江(広瀬すず)。
三隅に殺された(とされる)被害者は、咲江の父親です。
ですが、実は、その父から性的暴行を受けていたと、重盛に告白します。
自分が考えていた「父親を殺したい」という気持ちが、三隅に伝わった。
だから、殺してくれたのだと。
そのことを、公判で証言したいと申し出ました。
咲江は、なぜ、三隅をかばうような発言をしたのでしょう?
自分が好奇の目にさらされるかもしれないのに。
私は、被害者の娘である、咲江が、二度目の殺人の本当の犯人だと思っていますが、そこは明らかにはなっていません。
もしかしたら、咲江も自分自身を裁きたかったのかも。
映画『三度目の殺人』忘れちゃいけないキーワード
3
※役所さん、福山さん、広瀬すずさんの三人、検察、弁護士、裁判官の3、三隅の三(苗字に三が!)
ピーナッツクリーム
十字架
以上、3つのキーワードを覚えておいてくださいね。
三度目の殺人は、いつ起きた?
三隅は、二度目の殺人で逮捕され、起訴されています。
まぁ、本当に、三隅が殺していればの話ですが・・・そこはうやむやなままでした。
では、映画タイトルにもなっている、三度目の殺人は、いつ実行されたのか。
私は、死刑判決がくだった瞬間だと思っていますが
その死刑判決という裁きになるように踊らされた重盛を、三番目の殺人者とみるのか
自らを死刑に追い込むように計画してきた三隅本人を、三番目の殺人者とみるのか
これはもう、見た人の自由な解釈によるものでしょう。
ここが私の釈然としない部分でもあるのですが・・・
映画ポスターが、役所さん、福山さん、広瀬すずさんの三人であることや、三人が三人とも、ある同じ動作(しぐさ)をとった場面などを見ると、福山さんなのかな~なんて思ったりもします。
素朴な疑問。真実は追求されないの?
公判の場面において、三隅が「殺していない」と証言をくつがえすシーンがありました。
こんなの大問題だと思うわけですよ。
起訴した検察側にとっても、弁護側にとっても、裁判官にとっても。
でも、暗黙の了解のなか、争うのはやめておきましょうって感じで、話は進んでいくんですね。
真実を明らかにせず、とりあえず決着させる合理的な部分が、なんだかモヤっとしましたが
いまの日本ってこういう感じで大丈夫?っていう、メッセージでもあるのかも。
映画『三度目の殺人』まとめ
謎の多い三隅を、数秘学でひもといてみます。
三隅の誕生日は、1959年(昭和34年)12月1日。
裁判の中で、そう言っていました。
ライフパスナンバー1
バースデーナンバー1
マチュリティナンバー1
創造主であり、絶対の存在、崇高な信念に正義感。
おぉ・・・三隅っぽい。
この数字を見ると、やはり三隅は、被害者の娘である咲江のために、殺人を犯したのか?とも、思えてきます。
このあたりは、見る人の解釈で楽しみましょう。
最後に
見に行くなら一人ではなく、誰かと一緒に行くことをおすすめします。
そして、一瞬たりとも、画面から目を離してはいけません!
なので、シアターに入る前に、トイレはちゃ~んと、済ませておいてくださいね。
映画『三度目の殺人』を見る前に、こちらもどうぞ
『三度目の殺人』福山雅治&役所広司&是枝裕和監督 単独インタビュー
https://www.cinematoday.jp/interview/A0005656
投稿者プロフィール
![長谷川さん](https://hasegawa-ayumi.com/wp-content/uploads/2019/04/cropped-ayu-150x150.jpg)
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長谷川亜由美|女性向けサイトリニューアルの専門家|webと文章のコンサルタント|株式会社AKDを経営して15年目の人。
暮らしのちょっとした不便をなくし、快適で豊かにするための商品を比較したり、検証したりするのが趣味。オススメ飲食店の紹介や、映画をもっと楽しく見るためのレビューも得意。どうせなら記録に残そうと思い、自分で書いているのがこの雑記ブログ「長谷川さんが書いてます」です。
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