映画『昼顔』の感想。ネタバレあり。救いのない、ひどく悲しい結末までの軌跡

公開初日の2017年6月10日(土)に、映画『昼顔』を見てきました。

初見の感想をお届けします。

映画でもドラマでも同じですが

私の場合は、結末がハッピーエンドではない限り、ずっとずっと、その世界をさまよってしまいがち。

感情移入とは別次元の問題ですが

まるで地縛霊のように、私の意識は、物語の世界に取り残されてしまうんです。

だから、現実世界に戻るためにも、とにかく書いてスッキリしたい。

映画をすでに見た方で、私と同じような気持ちになっている方がいたら、この感情を分かち合いたい。

よって、映画の感想を、このブログに記すことにします。

とはいえ、多少のネタバレは避けられませんが、これから映画を見る方にとっても、できるだけ映画を楽しめるようなネタバレにおさえようと思います。

昼顔

『昼顔』ドラマ版のあらすじを、おさらい

ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』は、2014年の7月期に放送されました。

映画と同じく、井上由美子さんによる脚本で、全11話です。

上戸彩さんが演じる、笹本紗和(ささもとさわ)31歳は、スーパーでパートとして働く、ごく普通の主婦です。

夫と、特に何か問題があるわけではありません。

セックスレスであることを、のぞけば。

そして、斎藤工さんが演じる、北野裕一郎(きたのゆういちろう)は、高校の生物の教師。33歳。

自分の生徒がおこした、車上荒らしの事件をきっかけに、紗和と出会います。

北野のひとつ年上の妻は、伊藤歩さんが演じる乃里子(のりこ)。

紗和と北野は、いつしか恋愛感情を抱き合い、不倫関係になるのですが

互いのパートナーに知られ、引き裂かれ、不倫を精算することになりました。

弁護士立ち会いのもと、二度と会わない、連絡も取らないという誓約書にサインをして。

そして、もうひとつの不倫カップルも、ドラマに厚みを加えています。

吉瀬美智子さん演じる滝川利佳子(たきがわりかこ)39歳と、北村一輝さん演じる加藤修(かとうおさむ)45歳。

彼らもまた、不倫に陥り溺れていくのですが、最終的に別れを選びます。

どちらのカップルにも共通して言えるのは

「不倫は誰も幸せにしない」「罪を犯せば罰をうける」

ということなのですが

そこに至るまでの、さまざまな感情の揺れ動きが

世間の共感を生んだのか、最高視聴率は16.7%と、大ヒットドラマとなりました。

モラルから考えれば、不倫で幸せになるのは許されないことでしょうから

ドラマとしては、こんな終わり方を選ばざるを得なかったのかなと、思います。

ただ私個人としては、我慢して続ける結婚生活も、幸せではないと思うのですが・・・

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映画『昼顔』の主要キャスト

木下紗和(きのしたさわ)・・・上戸彩

北野裕一郎(きたのゆういちろう)・・・斎藤工

北野乃里子(きたののりこ)・・・伊藤歩

杉崎尚人(すぎさきなおと)・・・平山浩行

映画『昼顔』のあらすじと感想 ※ネタバレ注意

再会

ドラマの結末から、3年。

3年って、不倫にとっては、かなり微妙な時間の経過です。

ここを乗り越えてしまえば、別れた相手を思い出すことも、だいぶ減ってくる時期なんですよね。

ヒマさえあれば、相手を思っていたり、どこかでバッタリ出会わないかな、なんて妄想したり。

そんな重要なタイミングであるはずの、3年後に

やはり、2人は出会ってしまうのです。

そりゃぁ、再会しなければ、この映画は成立しませんが

運命とは残酷だなと思うわけです。

ドラマでの不倫騒ぎをきっかけに、夫とは離婚してバツイチになった紗和。

正直、紗和は身軽です。

誰とでも恋愛できる立場です。

そこに、乃里子とは離婚をしていない、いまだに結婚生活を続けている北野裕一郎の出現ですから。

揺れるに決まっています。

さて、あらすじを・・・

紗和は、自分のことを誰も知らない土地、三浜市というところへ引っ越しました。

オーナー杉崎が経営する海辺のレストランでアルバイトをし、アパートでひとり慎ましく暮らしていたのです。

ところが、郵便受けにはいっていたチラシに、あるアクシデント(これがまた、北野を象徴するようなアクシデントです)から、目をやると

そこには、北野裕一郎の名前が。

紗和の住む街で、ホタルに関する講演をするのです。

1度は、捨てたそのチラシ。

結局、また手にして、紗和は講演会の会場へ行きました。

隠れるように、身を潜めていた紗和ですが、きっと北野に気づいてほしかったに違いありません。

北野が自分を見つけたときに、どんな態度をとるか、一晩中シミュレーションをしたのではないでしょうか。

もし、冷たい視線を送られたらどうしよう・・・

それとも、何事もなかったかのように、あのころのように微笑んでくれるだろうか・・・

期待を胸に、会場へ赴いたはずなのですから、気づかれることを望んでいたと、私は思います。

マイクを握って、朴訥とした様子で、ホタルのことを語る北野。

そんな北野を目で追いかける紗和。

視線が絡んだその瞬間、講演中だというのに、北野の時間がとまりました。

観客がざわつき始めたころ、なんとか振り絞って声に出したのが

「ボクも、三浜自然の森へ、このあと行ってみたいと思います」

という言葉。もちろん、紗和へのメッセージです。

2人とも、三浜自然の森へ向かうのですが

結果、その日は、すれ違い、会うことはできませんでした。

夕焼けをバックに、2人の乗るバスが橋の上ですれ違う場面は、すでに終わりを予兆していたように思います。

バスは、ドラマ版のころからも、重要なアイテムでした。

バスに自転車という、日常にありがちな乗り物を使うところが、昼顔らしいですね。

自家用車のほうが、不倫はしやすいだろうに・・・なんて、余計なことを思いました。

昼顔

燃え上がる2人の関係に見え隠れする終わりの予感

再び、三浜自然の森へ訪れた紗和。

そこには、期待通り、北野がいました。

ドラマの中で、会ってもいけない、会話をしてもいけないという約束をさせられた2人は

独り言という名の会話で

互いが、互いを思いやっていることを知るのです。

そこからは、三浜自然の森で、頻繁に逢瀬を重ねるのですが

2人でホタルを探すだけの関係。

それでも、頻繁に三浜市へ行く夫に、不審を抱いた妻、乃里子は、ある日車で追跡し

2人が一緒にいる現場を取り押さえます。

このあたりは、乃里子の勘の鋭さというか、北野がバレやすいのかわかりませんが

乃里子ならやりかねない方法ですね。

その後、半年ほどして、北野は離婚を決意し、紗和と同棲を始めます。

しかし、この時点ではまだ、離婚は成立しておらず

法律的には、不倫なのです。

乃里子も、離婚に理解を示している様子でしたが、あの女がそんな簡単に北野を手離すはずはない。

私はこの時点で、乃里子が北野を殺すだろうことは、予感していました。

昼顔

疑惑

ある日、北野は、紗和にウソをついて外出します。

紗和は居ても立ってもいられず、北野の後をつけたところ、北野の向かった先は、妻、乃里子の住むマンションでした。

2人で車に乗って出かけてくる姿、微笑み合う2人の姿を見てしまった紗和。

ドラマで、はじめて乃里子が、2人の不貞を知ったときの気持ちが痛いほどわかったでしょうな~。

紗和は、うなだれたまま三浜へ戻りましたが、帰ってきた北野と言い争いになってしまいます。

その翌日、意を決し、紗和は、乃里子に会いにいきます。

そこで、北野が乃里子に会っていた理由を知り、さらには、乃里子が2人を認めてくれた様子に、ほっとします。

ここで終われば、ハッピーエンドだったはずなのですが・・・

そんなわけにはいかないのが、やはり昼顔でしょう。

昼顔

永遠の別れへ

乃里子から、離婚届を書いたから、取りに来るように言われた北野。

ようやく、紗和と北野が一緒になれる日が近づきました。

戻ったら入籍しようと、言い残し、北野は紗和との永遠の別れへ旅立ちます。

(と、思いながら、私は映画を見ていました)

道すがら、紗和に言いかけた「好き」という言葉を飲み込み

(北野は、ドラマの中でも、離婚するまで「好き」という言葉はクチにしないと、決めていました)

最後まで言えなかった「好き」をそこで言うのかという瞬間

北野の命の灯火は消え落ちました。

どうやって死んだのかは、本編をぜひ見てください。

シアターが、静寂につつまれ、映画を見ている誰もが、体をこわばらせることでしょう。

昼顔

映画『昼顔』のエピローグ

最後の最後。

私の思いが、映画の中に残ってしまった理由が、結婚指輪です。

晴れて離婚が成立したその日には、2人で、ホタルを見ながらお祝いしようと言っていました。

だからこそ北野は、三浜自然の森の、あるところに指輪を隠してから、乃里子のところへ向かったのです。

北野なりの演出だったのでしょう。

その「あるところ」は、映画が始まってすぐぐらいから、重要なアイテムであることはわかっていました。

カメラの寄り方で・・・(笑)

やっぱりね、と思っていたものの

まさか指輪が、あんなことになるなんて・・・

切ないです。

こここそが、私が現実世界へなかなか戻れない理由でした。

思い出してもやっぱり切ないし、いたたまれないです。

せめて、せめて・・・と、思わずにはいられません。

昼顔

映画『昼顔』の忘れちゃいけないキーワード

  • ホタル
  • バス
  • 麦わら帽子
  • メガネくん
  • 指輪

映画『昼顔』の救いを求めて得た Another End

映画を、公開初日に見て、まる1日たっても、北野の死が苦しくて

私は、昼顔の「アナザーエンド」を読むことにしました。

ドラマを小説本にしたものですが、最終回だけ、ドラマとは異なる終わり方なんです。

こっちは、ハッピーエンドに近いので、なんとか現実世界に帰れそうですよ~

私のように、入り込みすぎてしまった方に、オススメです。

著:井上 由美子, 著:百瀬 しのぶ
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映画『昼顔』の主人公を数秘学でひもといた結果

紗和と北野。

主人公の2人を、数秘学でひもといてみます。

誕生日はわかりませんので、名前だけ。

KITANO YUICHIRO
292156 73938996

ソウルナンバー:7(探究心旺盛で、静寂を好む)
パーソナリティナンバー:9(共感能力の高さを、周囲から求められがち)

KINOSHITA SAWA
295618921 1151

ソウルナンバー:9(感受性が強くナイーブ)
パーソナリティナンバー:6(母親のように包む込んでほしいと思われがち)

北野は、そのまんまですね。

研究者ですし。しかも、ちょっと変人。

紗和は、旧姓(おそらく木下)だと、強さが欠けますね。

笹本紗和でみたほうが、イメージに近いかな。

SASAMOTO SAWA
11114626 1151

ソウルナンバー:7(探究心旺盛で、静寂を好む)
パーソナリティナンバー:5(大胆で自由。あらゆる顔を自在にあやつる)

再婚していたら、明るく無邪気な紗和を、北野が包み込むような夫婦になれたかも。

名前って、不思議とその人の性格を、ちゃんと示唆するんですよね。

映画『昼顔』の感想 終わりに寄せて

北野が死んだときは、まだ離婚届を役所へ提出していなかったから

乃里子の夫として、死んでいったわけで・・・

一緒に暮らしていて、再婚間近だったのだから、本当に納得いかなかったろうな、紗和は。

再婚するはずだった北野を、永遠に失い、今後どうやって生きていくのか想像もつきませんね。

法律的には、乃里子の夫ですから、保険金も入らないし・・・

貧困まっしぐらではないでしょうか。

言えなかった言葉、受け取れなかった気持ち。

後悔ばかりがつのる人生になってしまいそうだけど、

紗和には、映画の世界の中で、なんとか幸せをつかみとってほしいと、願ってやみません。

昼顔

投稿者プロフィール

長谷川さん
長谷川さん
長谷川亜由美|女性向けサイトリニューアルの専門家|webと文章のコンサルタント|株式会社AKDを経営して15年目の人。

暮らしのちょっとした不便をなくし、快適で豊かにするための商品を比較したり、検証したりするのが趣味。オススメ飲食店の紹介や、映画をもっと楽しく見るためのレビューも得意。どうせなら記録に残そうと思い、自分で書いているのがこの雑記ブログ「長谷川さんが書いてます」です。