登壇を予定していた講師が緊急入院!そのときあなたはどうしますか?実録!千葉中央勉強会イブスタの主催者がとった行動の全記録

「たいへん! 中尾さんが入院した!」

こんなに短い文章なのに、その破壊力はすさまじいものがありました。

このメッセージを受け取った瞬間から、私たちの長い5日間が始まったのです……

こんにちは。長谷川亜由美です。

2010年の10月から、月に1回、継続して開催している「千葉中央勉強会イブスタ」の歴史上、はじめてのことがおきました。

なんと、講師が緊急入院をしてしまったのです。

入院したと連絡があったのは、10月29日(月)13時ごろのこと。

イブスタの開催日は、11月2日(金)でしたから、本番までたった5日しかありません。

今日は、この5日間の全記録を、ご紹介いたします。

連絡に明け暮れた1日目
10月29日(月)

登壇予定の講師は、中尾豊さん。

イブスタには4年ぶり2度目の登壇予定でした。

中尾さんは2年前に、急性大動脈解離で倒れており、高い致死率をのりこえ、奇跡的に生き残った方です。

福井に住む病人を、わざわざ千葉に呼び寄せようとしたのは、どうしても直接聞きたいことがあったから。

それが「働く時間を減らして売上をアップする情報発信術」でした。

とはいえ、いつ再発してもおかしくないことから、できるだけ血圧の変動をさせないためにも気温差の少ない11月を選んだり、「万一、当日来られなくなったときのこと」は、あらかじめ想定はしたりしていたんですが、まさか脳梗塞で緊急入院するとは、思いもよらないことだったんです。

しかし、共通の友人を通じて、いち早く入院を知らせてもらえたことで、中尾さんの病状は心配ながらも、私はすみやかにスイッチを入れ直しました。

まずは、共同主催者である、小林豪志さんへの連絡。

しかし、多忙なのかすぐに返事はなく、相談している時間もないので、私はたったひとりで、その後の流れを決断せざるを得ません。

その決断が、セミナー開催の続行です。

瞬間、アタマをよぎった「中止」の二文字。

でも、いままでの79回の歴史の中で、開催を中止したことは、一度だってありません。

2011年、東日本大震災の影響により、計画停電を余儀なくされたときでさえ、開催に踏み切りました。もちろん、安全を確保したうえで、です。

だからというわけではありませんが、なんとかして開催する方法を考えることを選びました。

中止するのはカンタンですが、私がもし、入院した講師の立場だったら・・・

やっぱり、開催してほしいと願うはずですから。

しかしながら、講師が来ないことがわかっているのに、予定通りの開催はできません。

そして次のような内容を、参加者ひとりひとりに、メールしたのです。

  • たいへん申し訳ない事態になった
  • 講師が緊急入院をした
  • でも、イブスタは開催します(この時点では内容は未確定)
  • ただし、参加費は無料とします
  • 講師はいないけど、それでも来るかどうかを教えてほしい
  • 懇親会に参加する予定の人は、その出欠も知らせてほしい
  • 参加費の返金方法を選んでほしい
  • 30日までに返信をしてほしい

これを、実に24人分。

ひとりずつ、懇親会に来る来ないなどの状況も違いますし、支払い方法も異なるので、一斉送信はせず、個別に1通ずつ送りました。

手間をかけないことを考えたら、一斉送信でもいいのですが、それだとこちらの誠意が伝わりません。

めんどうでも、ひとりずつ、メッセージを変えながらお送りするのが大事だと思います。

そのおかげか、ぞくぞくと返事はもどって来て「中尾さんが来ないなら、今回はやめておきます」というご返事の方は、わずか6人にとどまりました。

返金希望の方には、すぐに振込をして、その他もろもろ、おおむね処理が終わったのは、午後7時をまわったころ。

ようやく一息というタイミングで、講師が宿泊する予定だったホテルのキャンセルをしました。

つづいて、懇親会で利用する飲食店に、予約人数の変更を連絡。

最後に、中尾さんの入院をいち早く知らせてくれた、山田稔さんにお礼の連絡を入れて、すべて片付いたことを報告しました。

困ったときは、人のチカラを借りる

しかし、講師不在のまま開催するとはいえ、いったい何をやればいいのやら・・・

幸い、講義内容はおおむね、中尾さんから聞いていたこともあり、なんとかなるかな・・・なんて思ったりもしたのですが

いやいや、とんでもない、時間が1時間以上余るわ、これ!と、青ざめたところで

そうだ! ちょっとお願いしてみよう!

と、思いたち、私は、ある方に連絡をいれたんです。

「華子さんのメディア設計のワーク、こちらでやらせてもらえないでしょうか?」

そう、青山華子さんです。

青山華子さんは、10月のイブスタにも登壇してくれていて、中尾さんも共通の知人だったことから、状況をすぐさま把握して、快くご返事をいただくことができました。

困ったときに頼れる存在がいることももちろんですが

こういうときにヘタに遠慮せず、困ってます!助けてください!と、率直に言えるメンタルでよかったです。自分。

これでなんとか、無料とはいえ、集まっていただくみなさんのために、体裁は整えられることがわかり、安心して私は眠りにつきました。

ところが、翌日さらなる展開が待ち受けていたのです。

前代未聞尽くめのセミナーが決定した記念すべき日
2日目。10月30日(火)

前日、まったく仕事にならなかったこともあり、朝から大量のメールを処理していると、青山華子さんから連絡が入りました。

なんと、「ZOOM(ウェブ会議システム)を使って、札幌から中継で登壇しましょうか?」とおっしゃるのです。

つまり、ワークを進める1時間を、青山華子さんが担当してくださると。

それはもう、私としては、ありがたいご提案でしたので、即決でお願いをしました。

やはり、ワークの開発者である御本人が教えてくださるほうが、間違いないですからね!

そしてこの日の夜、青山華子さんとは、これまたZOOMで打ち合わせをして、当日のタイムテーブルや進行の確認を行い、おおむね体裁は整ったのです。

でも、ZOOMで講師が登壇するなんて、イブスタ史上、初めてのこと。

参加者は千葉にいて、講師は札幌。これを、インターネットで中継するんです。

いやはや、前代未聞です。

経験がないのですから、こちらの準備もおろそかには、できません。

  • 持参するノートパソコンのチェック
  • カメラのチェック
  • 外部スピーカーのチェック
  • プロジェクター接続時のさまざまな取り回しの確認

などなど、機材関係は、綿密に準備。バックアップ用機材も準備しつつ、操作方法もじゅうぶんに確認。

準備さえしっかりしておけば、当日トラブルがあっても、なんとかなりますからね。

しかし、カンペキにするには、もうひとつ、不足がありました。

それが、中尾さんの「話したかったこと」です。

脳梗塞で入院した中尾さん。

話せるのか、手は動くのかなど、どの程度の症状なのかわからなかったものの、本人からメールで連絡が来たので、どうやらタイピングはできそうなご様子。

元気づける意味もあって、私はダメ元ですごいことを提案したんです。

それが、これ。

  • 私が、中尾さんの代理となって、中尾さんのセミナーを話します
  • だから、カンタンでいいから、話したかったことを送ってほしい
  • それにそって、私がイタコとなって喋ります!
  • リハビリついでと思って、やってみて!
  • でも、お医者さんに相談のうえ、ムリはしないこと

提案ですよ。脅しじゃないです!

私も、そこそこ講師歴は長いですから、アドリブも得意ですし、しゃべりなれているとはいえ

他人様のコンテンツを使って、聞き手に伝わるように話すというのは、容易ではないことは、カンタンに想像ができます。

でも、脳梗塞のリハビリは、直後が重要だと聞いたこともあって、動くのであれば、ムリにでもアタマなり、指なりを使ってほしいと思いました。

どこまでできるかなんて、この時点ではまったくわかりませんでしたが、私は中尾さんの生命力にかけたんです。

がんばってほしい! ただ、その一心でした。

準備とリハーサルに明け暮れた
4日目。11月1日(木)

ついに、イブスタの前日となりました。

青山華子さんからは、プロジェクターで投影する資料が送られてきて、あらためて内容と進行を確認。

そして、印刷物などの準備をすすめます。

懇親会の会場にも、予約確認を入れたり、セミナー会場の最終確認を入れたり、このへんは通常業務ですね。

しかし、中尾さんからの資料はまだ来ない・・・

かといって、催促をするつもりはなかったですし、来なきゃ来ないで、青山華子さんのワークにあてる時間配分を変えるだけですから、臨機応変に対応するつもりで、準備をすすめていました。

ところが。21時半ごろ。

あんたホントに病人なの?

と、思わず驚きの声が漏れてしまうほどの、素晴らしいセミナースライド(パワーポイントで46ページ)が届きました。

ええ、中尾さんから。

あとは私に一任する!とひとこと残し、疲れ果てた中尾さんは、就寝。

私は文字通り、口をポカンと開けたまま、スライドに目を通します。

おおむね、流れは理解したものの、予定している30分でおさまるか、まずはしゃべってみます。

・・・終わらない(笑)

そこで、なにが一番大事で、参加する人たちにとって、難しく感じる箇所はどこか、取捨選択にかかります。

そして、おもしろくするには、どういう演出がいいか

スライドをめくっていくタイミングを調整したり

次のスライドに何が表示されるかを覚えたりしながら、とりあえず3回、リハーサルをしました。

夢の中でも、セミナーのスライドが出てきて、まったく寝た気がしませんでしたね(^^;

そしてイブスタ開催の当日
11月2日(金)

午前中、少し仕事をして、出かける準備まで整えて、再度リハーサルを実行。

イブスタの開始は19時です。

この時点で、家を出るまで5時間ありましたから、少なくても6回はリハーサルができると踏んで、ストップウォッチ片手に、本番さながらのチェックを行います。

ただしゃべるだけなら、スライドをめくりながら、スライドに書いてあることを、読めばいいんですけどね

それって、セミナーじゃないので。

講師の伝えたい意図を読み取りながら、一番いいタイミングで、一番刺さる言葉を選ぶ。

そうやって、ちょっとずつ、セミナーの精度を高め、時間のゆるす限り練習を繰り返しました。

いくら無料とはいえ、わざわざ足を運んでくださる皆様の満足度を少しでも高めたいですし

札幌から登壇してくれる青山華子さんのご協力にもしっかり応えたかったし

病床ながらも、資料をつくりあげてくれた中尾さんを喜ばせたかったから。

そんなこんなで、あっという間に、出かける時間となり

いざ出陣!と、なったのです。

18時。会場入り

ZOOMの設営などがありましたので、あらかじめ参加者の中から、お2人、お手伝いをお願いしておきました。

その2人は、松下一子さんと、水谷禎子さん

2人とも、私同様に、ZOOMは使い慣れていますので、音声チェックや映像チェックをしてもらったり

ふだんより、身動きがとりにくい、主催者の私たちにかわって

受付や懇親会の集金、後方からの写真撮影などを、買って出てくれました。

本当にありがたかったです。

こういうときも、無理せず、手伝ってほしい!と、声に出すのは大事です。

声に出さなければ届きませんしね。

こうしてお2人の協力もあり、無事に千葉と札幌は、インターネットでつながりました。

およそ、900キロ離れた土地との距離を感じないって、革命ですよね。

映像も音声も良好!

スクリーンに映る映像も確認を終え

あとは、参加者のみなさんを待つだけです。

18時半。開場

開始は19時ですが、イブスタでは、5分前着席をお願いしております。

きっかり定刻で始めるためですね。

そして余裕があれば、参加者同士、歓談の時間をとってほしいので、30分前に開場しています。

18時半近くなったころから、18名の参加者が、続々と集まってきてくださいました。

でも、みなさんは、これから何が起きるのか、はっきりはご存じない(笑)

私が、中尾さんの代理でお話しすることは、なんとなく伝えてありましたが

青山華子さんが、ZOOMで登壇することは、知らない方もいるのです。

まるでドッキリですね。

でも、緊急事態であることは、みなさんがご理解くださっていて

個々にご協力いただき、おかげさまで

なんのトラブルもなく、すべての行程が時間どおりにすすみ、第80回イブスタは終了となりました。

スクリーンに映っているのが、札幌から登壇してくれた、青山華子さんです。

こんな集合写真も、初めてのこと! けっこう、うまくいきました。

「札幌のはなこさ~ん!」

なんて、まるでテレビ番組のリポーターさんのように呼びかけて、臨場感も味わっていただきつつ

みなさんも、はじめてのZOOMセミナーを、楽しみながら、体験してくださったご様子で、私たちも安堵したのは言うまでもありません。

本当に、ありがとうございました!

札幌との中継が、こんなにもスムーズにいくなんて、遠隔セミナーはこれからますます増えていくでしょうね。

イブスタでも積極的に取り入れたいところですが、青山華子さんのように、ZOOMセミナーに慣れている方だったから、うまくいったはずなので、誰にでもできるか?というと、不安が残ります。

ZOOMセミナーでの注意点は、青山華子さんのブログにまとまっていますので、開催を検討している方は、ぜひご覧ください。

私がZOOMセミナーの運営者として準備した内容なども、掲載していただいています。

しかし、私が代理でお話をした、中尾さんのセミナー部分は、点数にしたら80点ですかね(^^;

もうちょっとがんばりたかったけど、不足の部分は、中尾さんが元気になったら、やり直していただくということで、みなさんにはご理解をいただきました。

中尾さん、早く復活して、完全なセミナーを聞かせてくださいね。

急に講師が来られなくなったときのためにできること

以上が、私たちの実体験です。

もし、セミナー主催者の方が、急に講師が来られなくなった事態に陥りましたら、なんとなく参考にしていただきつつ

これだけは、事前にやっておきましょう!ということを、最後にお伝えしますね。

それは「規約」の整備です。

今回、講師が来られないことがわかったのが、セミナーの5日前だったということは、私たちにとって不幸中の幸いでした。

もしこれが、当日のことであれば、参加者に多大なご迷惑をおかけすることになりますから

無料にするだけでは済まなかったでしょう。

しかし、主催者には、責任があるとはいえ、すべての責任は負えません。その点も考慮する必要があります。

そのため、イブスタでは、規約を定めています。

今回のケースでは、「講師の自己都合により、勉強会の開催を中止する場合の返金対応について」に、該当します。

参加者:参加費の全額を返金いたします。加えて、勉強会中止の通達が、勉強会の当日だった場合、交通費として1人につき1,000円をお支払いいたします。

ただし、勉強会中止に起因するあらゆる損害につきましては、一切の補償をいたしません。

なお、講師につきましては、参加予定人数×参加費を、ご請求いたします。

中止ではありませんが、講師が来られない事態は、参加者からすれば中止と同等ですので、この規約を適用し、参加費の全額を返金いたしました。

あとは、延期や中止を決めるタイミングがいつなのか? で、実務は変わってくると思いますが

まずは、参加者のことを第一に考えることですよね。

すみやかに連絡をして、不可抗力とはいえ謝罪をして、誠意を伝える。

そうすれば、中止になったことで、怒るような方は、いないはずです。

結局は、主催者の対応ひとつだと思うんですよ。

いざ!というときに、対応に迷わないためにも、規約をつくってルール化しておくことで、判断がスピーディーになります。

また、災害時の規約も決めておくことで、さまざまなリスク回避にもつながるはずです。

堅苦しく考える必要はありませんが、参加者の方の利益を守る意味でも、規約を決めておくことをオススメします。

規約は、コピペでご利用いただけますので、セミナー主催者の方は参考にしていただけたらうれしいです。

それから、もうひとつ。

困ったときは、自分たちだけでがんばらないこと。

イブスタは、もともと主催者が2人いるので、心強いとはいえ、やはり緊急時には、たくさんの方のお力を必要とすることがわかりました。

もちろん、お手伝いをお願いしたとしても、やってもらって当然だなんて態度はとらず、

ありがたくご好意は受け入れ、いつかご恩返しをすればいいんです。

困ったときは、お互い様。

日本にはいい言葉がありますよね。

そういう関係性を、ふだんからつくっておくというか、うーんなんでしょう、意図的に、という意味ではなく

「お金」でつながる関係ではなく、「心」でつながる関係を、大事に育むといえばいいでしょうか

なんだか言葉にするのは難しいですが、まぁぶっちゃけですよね。根底は。

それだけで、たいていのことは片付くんじゃないかな、なんて思ってます。

セミナーを主催する方の、参考になれば幸いです。

あらためまして、中尾豊さん、青山華子さん、多大なるご協力に感謝します。

そして、こんな緊急時にも参加してくれたみなさまにも、心から御礼を申し上げます。

ありがとうございました!

ここまでは、長谷川亜由美がお届けしました!

千葉からは以上です! マイクをスタジオにお返ししま~す!

↑しばらくブームになったお気に入りのセリフ

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